マイクロ広角レンズの全て

4.X−Yシフト機能

テストチャート撮影による機能確認

'05/5/29

Kochan


この第4回からマイクロ広角レンズ Bタイプを使った実写テストの結果を紹介したいと思います。マイクロ広角レンズの構成は

CCTVレンズ:Kowa LMVZ164(1/3" f1.6-3.4mm/F1.4 )

顕微鏡対物レンズ:OLYMPUS UMPLFL5X

集光レンズ:OLYMPUS U−TLU

使用カメラはCanon EOS 1D MkII です。近年のポピュラーなデジタル1眼はAPS−Cサイズ(撮像エリア

:22.5 X15 mm)ですが、イメージサークルの様子(周辺ケラレなどによる中心偏差など)がわかりやすい方が説明しやすい

と考え、撮像素子が少し大きい(28.7 x19.1 mm)EOS 1D MkIIを使用しました。最初はX−Yシフト機能の

説明から入ります。

左図がテスト撮影に用いたテストチャートです。エプソンのA3ノビのホトプリント紙にプリンターで格子を印刷した物です。小ピッチが5mm、大ピッチが20mmとなっています。歪みや、周辺色ズレなどのレンズテストをするには、この様な白黒の格子パターンが大変便利です。撮影時の絞りは基本的には開放(バーの中心付近、以後1/2と表記)を使用しています。

・左図は日当たりの良い庭にてテストチャートの法線方向からの撮影です。画角はほとんど180度。レンズの先端からチャートまでの距離が40mmと近いため、マイクロ広角レンズの影もしっかり写り込んでいます。絞りは1/2(CCTVレンズの中間で明るさは飽和します、幾何学的には開放でもF8)ですから最も被写界深度があさい状態です。撮影機材はEOS1DMk2ですから、APS−Cサイズの撮像素子のカメラの場合は内側の四角が全視野となります。(ズームを使えば、周辺ケラレなしの画像となります)このテストチャート撮影では解像度テストが目的ですからピントは中心(最も近い所)に合わせていますが、実践ではもう少し遠い所に合わせ、絞り込むことで全ピンのような画像が撮れます。この辺は後半の実践撮影で具体的に取り扱う予定です。※画像はファインダーで覗く場合と同様に倒立像のまま掲載していますので上が地面、下が空です。

 

 

・X−Yシフト機構の説明です。シフトを使い、一杯に左下にずらして撮影したのが、左図です。ご覧の様に像の中心位置が移動するだけであることがおわかり頂けると思います。画角めいっぱいをケラレなしにするために微妙なレンズ中心の調節に使うこともできますが、ズーム状態にして像の切り取り位置を移動することによって撮影画像中にゆがみ感の軽減や直線の欲しい(建物や地平線・水平線など)部分を意図的に選ぶことができます。左図をズームにしてAPS−Cサイズで切り取れば画面の左の辺と下の辺でゆがみのない直線の写真が撮影できることとなります。昔の大版、中版カメラはあおりも含めこの辺の操作ができるカメラが多かったのですが、現在の35mmカメラが全盛になってからでは人気がなくなって(こだわる人が少なくなって)しまいました。図は元の中心からずれた量と方向を示しいます(360度可能)。およそこの矢印の半径で書ける円の範囲のシフト調整ができることになります。

 

 

また、あおりと組み合わせることで画面の端にある手前の建物や遠くの鉄塔や地平線などの歪みの少ない、(一見全ピンの)深い被写界深度の写真も撮影することもできます。

 

 

 

 

  

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